数年前と比べて、ガードがピック&ロールを使って3Pを決めるシーンが多くなっていたように感じます。
NBAではお馴染みのピック&ロールですが、日本のプロリーグでもシュートクロックの残秒に関わらず積極的に使用されるプレーです。
そんな中で特に富樫選手(千葉)と比江島選手(三河)のピック&ロール時のスクリーンの使い方が非常に上手い!と思ったので動画を交えつつ紹介したいと思います。
1.スクリーンを上手く使うのは難しい
バスケットのオフェンスは「いかに確率の高いシュートを打つか」という考えが基本です。
その中で、しっかり使えばフリーやスピードや高さのミスマッチが起こる状況を作れるピック&ロールは非常に有効な手段です。
そして当然ですが相手のディフェンスは簡単にスクリーンにヒットしないように工夫して守ります。
一番基本的な守り方としては、センターがショウディフェンスをすることで、ドリブラの動きを膨らませてそのスペースをドリブラーのディフェンスが付いていく(=ファイトオーバー)というものです。
ショウディフェンスがなくても橋本選手(三河)や鈴木選手(三遠)といったアグレッシブにディフェンスをするプレイヤーはスクリーンにヒットしないようにドリブラーとの距離を積極的に詰めます。
写真:JBA
近年の筑波大学がこのショウディフェンスを非常に有効に利用し、相手チームのスクリーンプレーを封じ込めていました。
早稲田大学は機動力を活かしてピック&ロールを多用するスタイルでしたが、この試合では木林選手(三井住友海上)のショウディフェンスを警戒するあまり、スクリーンがきちんとヒットせずに攻め手がなくなってしまいました。
特に、序盤にダブルチームからターンオーバーが発生したことも早稲田大学のガード陣がスクリーンを有効に使えなかった原因かなと思います。
(途中から再生されます)
2.ムービングスクリーンは当然NG
ならばドリブラーのディフェンスに気づかれないようにスクリーナーが動けばいいのでは?と思いますが、これは当然ムービングスクリーンなのでファールになってしまいますよね。
プロのレベルになるとスクリーナーが動いているのか、静止しているのか非常に際どいタイミングでスクリーンプレーが行われますが、オフボールならともかく、ボール保持者に対してのスクリーンは審判も厳しく見るので「ファールにならなければ良い」という考えは得策ではないでしょう。
相手もスクリーンの対応が上手い、ムービングスクリーンもダメ
あんなにピック&ロールの練習したのに、試合で成功することは難しいのでしょうか?
ここから富樫選手と比江島選手のプレーを解説していきたいと思います。
3.上手いスクリーンの使い方コツ(動画あり)
1.富樫選手の場合~流れの中で行う~
富樫選手は、速攻の場面やコートの高めの位置からドリブルを付き始めて、スクリーナーが立っているところに「当てに行く」ことでスクリーンを上手くヒットさせています。
止まった状態からだと、相手ディフェンスはしっかり対応出来てしまいますもんね。
流れの中で(動きながら)スクリーンを使うことで相手ディフェンスの対応が遅れますし、何より富樫選手がスピードに乗っているのでショウディフェンスをしても富樫選手に付いていけません。
この動画では相手ディフェンスが全く警戒できていないですね。
千葉ジェッツのインサイドプレーヤーのスクリーンをセットするまでの動き方も上手いです。
2.比江島選手の場合~相手ディフェンスを動かす~
比江島選手はバックコートからボールを運ぶ機会が富樫選手と比べて少ないので、相手ディフェンスがスクリーンを警戒する中でピック&ロールを行うことが多いです。
その中で比江島選手はスクリーナーを通る前に一度逆サイドに切り返しを入れることで「相手ディフェンスを動かす」ことでスクリーンを上手くヒットさせています。
このハイライトの4分48秒ではフロントチェンジを繰り返し、相手ディフェンスがちょうどスクリーナーにヒットするようにプレーしています。
富樫選手も比江島選手もフィニッシュの上手さに注目されがちですが、フリーを作るために細かいところで工夫しているんですね~。
特に千葉ジェッツは練習の際から富樫選手にフリーで打たせるために考えているんだと思います
最後までお読み頂きありがとうございました!